保険の全損と半損どっちがいいの?
今年は桜も早く終わってしまい、暖かい日が多いですね。
4月なのに30度に届きそうな日もあり、これから夏に向け思いやられます・・・
さて、多くの企業では決算対策として生命保険を活用されていると思いますが
全額損金に充てられる保険商品も常に見直されています。
いわば国税と保険会社のイタチゴッコです。
そんな中、全額損金と半分損金の保険商品ではどちらが効果があるんでしょうか?
仮に・・・
10年後の退職金目的で1,000万円/年の保険に加入したとします。
①全額損金の保険は10年後の返戻率が85%
②半額損金の保険は10年後の返戻率が95% とします。
10年後に解約して返戻金は・・・
①全額損金保険は8,500万円の返戻金
②半額損金保険は9,500万円の返戻金
半分損金の方が1,000万円お得です。
しかし、半分損金の方は年払い保険金1,000万円の内500万円は資産計上ですので
税引き後にキャッシュで支払う事になります。
これは500万円÷(1-0.34)=757万円の利益が必要になるという事です。
つまり税率を34%とした場合、半分損金1,000万円の保険料を10年間払っていくのに
法人税を2,575万円支払う必要があります。
【半分損金の10年間の実質負担】
支払い保険料 1億+法人税2,575万円-解約返戻金9,500万円=3,075万円
【全額損金の10年間の実質負担】
支払い保険料 1億-解約返戻金8,500万円=1,500万円
法人税を考慮すれば全額損金保険の方が1,575万円多く残る事になります。
*因みに何もしなかった場合、利益1,000万円×10年×法人税34%=3,400万円の
税負担になります。
この比較は退職金目的としている為、全額損金がお得と言えますが
使い道が定まっていないまま解約してしまうとどちらも雑収入として計上せねばならず
法人税がかかってしまいます。その場合は返戻率の高い半額損金の方がお得でしょう。
結果的には保険活用しない方が資金を残せると言えます。
どちらの場合も解約のタイミングを考えないと結果的に何のための節税対策か
わからなくなってしまいますし、年払い保険金の原資をキャッシュで貯めていくのも
大変ですよね。設備投資時の一括損金計上が出来た時は良いですが、利益が出ている時ほど
解約できない保険は何のために支払っているのか意図を見失ってしまう事もあります。
保険内容もしっかり経営手段(目的)に反映した商品にする事が大切だと思います。